腎臓高血圧内科ブログ

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7/16

2020

【2020年】3年生向け:腎臓高血圧内科試験のための復習ポイント

3年生の皆さん

今年も試験のための復習ポイントを公開します!!

随時更新していく予定ですので、確認した人は他の人にも教えてあげてください!

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  • 血液尿関門の構造は?
  • 内皮細胞・上皮細胞・メサンギウム細胞を見分けられる?

血液尿関門は、糸球体において血管とボウマン腔を隔てる障壁となる構造です

ボウマン腔はそのまま尿細管腔を経て尿管→膀胱→尿道→体表へと連続しますので、すなわち血液尿関門は体内と体外を隔てる壁だと考えても良いです

血液尿関門は内側から糸球体血管内皮細胞→基底膜→糸球体上皮細胞の三層構造をしています

糸球体血管内皮細胞、別名有窓細胞には細かい穴が無数にあいていて、これが血管係蹄で内側から基底膜にへばりついているとまるでメッシュで裏打ちしているように見えます

このメッシュ構造を介して血漿が濾過されているのです

一方、基底膜に外側から覆いかぶさる糸球体上皮細胞にはシダの葉のような細かい分葉構造の特記をもち、それぞれが隣の上皮細胞と堅く組み合っています

このシダの葉構造を透過電子顕微鏡で観察するために薄切するとまるで棘のような不連続突起が基底膜上に連なっているように見え、これらは足突起と呼ばれています

この足突起の構造が特徴的なので糸球体上皮細胞はすぐに同定できます

糸球体上皮細胞のある側が基底膜の外側、ということは、基底膜を挟んで反対側にある細胞が糸球体血管内皮細胞である、ということです

なお、メサンギウム細胞も基底膜の内側に見えますが、メサンギウム細胞は複数の血管係蹄に跨ってこれらを束ねる位置にあります

また、濾過に関係しないメサンギウム細胞には内皮細胞のような穴はあいていません

 

 

  • GFRって何?

GFRとは1分あたりに血液尿関門を通過して血管腔からボウマン腔に濾過される血漿の体積であり、単位はml/minです。分時原尿産生量と言い換えても間違いではありません。

 

 

  • 糸球体過剰濾過はなぜいけないの?

大きく分けて2つ理由があります

  • 糸球体濾過の主要な駆動力は血液尿関門内外の静水圧較差ですが、ボウマン腔の静水圧は生理条件下では十分に低く、それより下げることはできないので、圧格差を増やして濾過を強化するには糸球体血管係蹄内の圧を上げるしかありません。すなわち、糸球体高血圧を起こさなければならないのです。これが糸球体にとって負荷となり障害→硬化が進む推進力となると考えられています。
  • 糸球体に流れ込む血管は輸入細動脈ですが、出ていく血管は輸出細動脈であり、静脈ではありません。糸球体で濾過された後の動脈血が、輸出細動脈を経てその後に尿細管を栄養しているのです。糸球体における濾過量が大きくなると尿細管を栄養する動脈の粘稠度が上昇し、いわゆるドロドロ血液になります。このために、酸素需要が高い尿細管が虚脱から虚血に至るリスクが上昇すると考えられています。

以上2つのシナリオは、いずれも腎臓を流れる血液の量(=有効腎血漿流量)が変わらずに糸球体濾過だけが上昇した場合、という意味です

もしも人為的に有効腎血漿流量を選択的に上げることができれば上記のようなリスクを回避しながらGFRを増やすことも可能ですが、現代の医学ではまだこれに成功していません

 

  • 皮質と髄質の環境の違いは?

陸棲脊椎動物が陸上で体液量を維持するためには尿を濃縮しなければなりません。これによって余計な溶質を排出する際の水の喪失を必要最低限にとどめているのです。尿を濃縮させる駆動力は浸透圧勾配であり、これを生み出すために腎臓髄質は高浸透圧環境になっています。等浸透圧な血液が豊富に流れ込むと高浸透圧環境を維持することは困難です。このため、腎臓髄質の血流は必要最低限に留められており、ここに存在する尿細管上皮細胞、具体的にはヘンレの細いわなや集合管などの細胞は、慢性的な虚血に耐えるために代謝も極力抑えられています。細胞内にはエネルギー産生工場であるミトコンドリアがあまり見られません。一方、溶質の選択的な再吸収/排泄もまた尿細管の重要な役割であり、そのためのトランスポーターなどを稼働させるには大きなエネルギーが必要です。そこでこれらの機能は血流が豊富、すなわち等浸透圧環境にある皮質の尿細管上皮が担当しています。皮質の尿細管上皮細胞、すなわち近位曲尿細管、太いヘンレの上行脚(の一部)、遠位曲尿細管、結合尿細管(接合尿細管と記載されることもあります)などの上皮細胞にはエネルギー消費が活発である証拠であるミトコンドリアがきわめて豊富です。

このように、髄質の尿細管上皮細胞は常に虚血環境にいるため、本当の虚血病態に陥ってもわりと平気です。一方、皮質の尿細管上皮細胞は豊富に酸素を消費することを前提とした代謝をしていますので、虚血病態になるとかえって障害されやすいのです。

 

 

  • pHからH+濃度を推定できる?

以下の条件を覚えておけばpHの値からH+濃度を概算することはたいていの場合可能です

pH 7.00 → H+ 100nmol/L

pH 7.36 → H+ 44nmol/L

pH 7.40 → H+ 40nmol/L

pH 7.44 → H+ 36nmol/L

pH が0.3下がるたびに H+はおよそ2倍になる

pH が1,0下がるたびに H+は10倍になる

 

 

  • 細胞外液のpHがHCO3とPCO2で規定される理由は?

 

緩衝系Aにおいて解離指数をpKa、酸をA、塩基をHAと置くと、Henderson-Hasselbalchの式は pH = pKa + log([A]/[HA]) と示されます

ここで細胞外液における最大かつ決定的な緩衝系は炭酸緩衝系でありその解離指数は6.1なのでAにHCO3を代入すると pH = 6.1 + log([HCO3]/[H2CO3])の式が得られます

H2CO3は血液中の炭酸濃度であり、肺胞で血液に接する気体のCO2圧、すなわちPCO2に比例するが、その比例係数(=溶解係数)は0.0307です

したがって最終的なHenderson-Hasselbalchの式は pH = 6.1 + log([HCO3]/[0.03PCO2])となり、2つの変数であるHCO3とPCO2が細胞外液のpHの実質的な規定因子となるのです

 

 

  • 尿細管性アシドーシスの分類とその鑑別は?

尿細管における酸処理障害の結果生じた全身性アシドーシスが尿細管性アシドーシスです

遠位型=I型、近位型=II型、高K型=IV型の3病型に分けられます。III型は欠番です

遠位型=I型は集合管A型介在細胞(間在細胞と記されることもある)におけるH+分泌障害に基づくアシドーシスです。尿の酸性化させることができません。比較的少量のアルカリ剤で対処しますが、予後は良くありません。

近位型=Ⅱ型は近位曲尿細管におけるHCO3の再吸収障害に基づくアシドーシスです。最終的に尿を酸性化させることはできます。大量のアルカリ剤で対処します。

高K型=IV型は集合管におけるアルドステロン依存性のNa+/K+交換と、それに引き続くH+/K+交換の障害が原因となるアシドーシスです。高K型とはいうものの、実際には高Kというよりも「低Kではない」という方がより正確で、それでも低KとなるI型やII型から鑑別できることが多いでしょう。

 

 

  • AGの計算法とその意義は?

AG(Anion Gap)とは動脈血液ガス分析において(Na+) – (( Cl) + ( HCO3))で示される計算値であり、正常値は 12±2 mEq/Lです。

細胞外液の総陽イオン数と総陰イオン数はほぼ釣り合っており、陽イオンの大多数を占めるNa+と陰イオンの大多数を占める(Cl) + (HCO3)の差は生理状態ならば 12±2 mEq/L程度です。

ところが代謝性アシドーシス、すなわち(HCO3)が低下する患者の中には(Na+) – ((Cl) + (HCO3))が14mEq/Lを超える症例もあり、このような状態をAGが拡大していると称します。

AGが拡大している状態では、動脈血液ガス分析では通常測定しない何らかの陰イオンが増加して、これが(( Cl) + ( HCO3))と共に(Na+)と釣り合いを取っていると解釈されます。

なお代謝性アシドーシス=(HCO3)が低下して、かつAGが拡大していなければ、減った(HCO3)の分だけ(Cl)が増加しているはずで、この病態は高Cl血症性アシドーシスとも呼ばれます。

 

 

  • GFRとeGFRの違いを説明できる?

GFRとは1分あたりに血液尿関門を通過して血管腔からボウマン腔に濾過される血漿の体積であり、単位はml/minです。

ところが、ヒトは体格に伴って細胞外液量に個人差があります。同じGFRだと、体格が大きい=細胞外液量が多い人では血漿の浄化される効率が悪く、逆に体格が小さい=細胞外液量が少ない人では血漿の浄化効率が良くなります。すなわち、慢性腎臓病の進行に伴うアウトカムである血液浄化効率をGFRの生データだけで評価することはできないのです。

逆に、腎で排泄される溶質の血液における蓄積の度合いを比較すれば、血液浄化効率を平等に評価することが可能でしょう。そこで、大勢のボランティアに協力してもらって、血清Cr濃度とイヌリンクリアランス(GFRinu)の関係をプロットし、これを曲線に回帰させました。すると体表面積補正した男性ではおおよそ GFRinu = 194×Cr-1.094×年齢-0.287 の関係が得られたのです

そこで、それぞれの症例のCr値と年齢を上記の式に代入して得られた計算結果を腎機能の指標として、これをeGFRと呼ぶことにしました。単位はml/min/1.73m2です。

注意すべきは、ここで得られたeGFRはそれぞれの症例の実際のGFRの近似値ではなく、体表面積を1.73m2に補正した時のGFRというバーチャルな値だということです。たとえば体表面積が1.73m2である標準的な体形の男性のGFRが100ml/minならその人のeGFRはやはり100ml/min/1.73m2程度になるでしょう。しかしその男性が小柄で体表面積が1.38m2程度しかなければGFRは80ml/minが、逆に大柄で体表面積2.08ml/minくらい(←このくらいの人はときどきいます)ならGFRは120ml/minで、それぞれeGFRが100ml/min/1.73m2程度になるはずです。この3人のGFRはばらばらですが、eGFRは揃っており、すなわち血中Cr濃度はほぼ等しいはずなのです。

なお、血中のCr濃度は腎からの排泄速度だけでなく、その産生速度にも規定され、筋肉質であるほど高くなりがちです。そこで筋肉量の少ない女性では、さきほど得られた男性のeGFR回帰式に0.739を掛けた値をeGFRとしています。

またeGFRは通常血中Cr濃度から計算しますが、血中cystatin C濃度から計算する回帰式もあります。

 

 

  • クレアチニンクリアランスは計算できる?

クレアチニンクリアランスは血中Cr濃度と尿中Cr排泄量から計算するGFRです

糸球体で濾過された原尿が濃縮され、尿として排泄された際には1/Pの体積になっていたとすると、GFRは分時尿量をP倍することで得られます。

ある溶質Yが血液尿関門を自由に通過し、かつその後に尿細管で再吸収されることはなく、また尿細管へ血液から分泌されることもないとすると、PはYの尿中濃度をYの血中濃度で割ることによって求めることができます

最も理想的なYに近い物質としてはイヌリンが挙げられますが、しかしイヌリンクリアランス検査は手技が厄介なので、その代替として汎用されている簡便法がクレアチニンクリアランス=Ccrです

Ccr = 分時尿量 × P

= 分時尿量 × (尿中Cr濃度/血中Cr濃度)

多くの場合は一日蓄尿で求められるので

= 一日蓄尿量 × (蓄尿中Cr濃度/血中Cr濃度)÷ 1440分

単位はml/minです

この単位がml/minであることを覚えておけば計算はなんとかなります

 

 

  • β2ミクログロブリンの血清濃度と尿中排泄量の意義の違いは?

β2ミクログロブリンは全ての有核細胞から産生される小分子蛋白であり、このためその血中への供給速度は安定しており、血中濃度は消失速度に大きく依存しています

そしてβ2ミクログロブリンは血液尿関門を自由に通過するので血中消失速度はeGFR(Crで計算した者でもcystatin Cで計算したものでも可)に大きく依存します

すなわち、β2ミクログロブリンはCrのようにGFRマーカーとして機能し、その血清濃度はeGFRを、すなわち腎機能を反映します

ところが原尿中に排泄されたβ2ミクログロブリンはそのほとんど100%が近位曲尿細管で再吸収されるので、生理状態では排泄された尿中にはほとんど存在しません

すなわち、Crとは異なり、クリアランス検査に用いることはできないのです

尿中のβ2ミクログロブリン濃度が上昇するには、1)GFRが保たれており、原尿中にβ2ミクログロブリンが放出される、2)近位尿細管でβ2ミクログロブリンが再吸収されない、という2つの条件を同時に満たさなければならず、このため尿中β2ミクログロブリン排泄量は尿細管間質障害のマーカーとして利用されています。

 

 

  • なぜPCRは一日尿蛋白排泄量に近似するの?

一日尿蛋白量=24時間蓄尿中蛋白濃度× 24時間蓄尿量

=(24時間蓄尿中蛋白濃度÷24時間蓄尿中Cr濃度)

×(24時間蓄尿中Cr濃度×24時間蓄尿量)

=(24時間蓄尿中蛋白/Cr比)× 24時間 Cr排泄量

ここで尿中蛋白/Crには日内変動が乏しいので

≒(スポット尿中蛋白/Cr比)× 24時間 Cr排泄量

更に、体表面積1.73m2程度の標準的な体格男性の24時間 Cr排泄量は約1gなので

≒(スポット尿中蛋白/Cr比)g/day

となりスポット尿中蛋白/Cr比=PCRは一日尿蛋白排泄量の近似値となる

 

ただし、PCRはあくまでも目安の指標であって単位はつけません

厳密に単位をつけるならばg/day/1.73m2となるでしょうが、一般的ではないので注意してください

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