教授・医局長あいさつ

greeting

主任教授
風間順一郎

医局を結束させる原動力は、夢であり、目標です。

メッセージ

message

大学の医局というとどんな印象をお持ちでしょうか?古くは山崎豊子の「白い巨塔」に見られる厳格なヒエラルキーや、最近ではドクターXでやたら「御意っ!」と叫ぶ提灯持ちの医師たちを思い浮かべるかもしれません。残念ながら、そういう漫画のような古い体質を残す医局は、今日では探してもなかなか見つからなくなりました。もちろん福島医大腎臓高血圧内科学教室にそのような雰囲気は微塵もありません。
医局とは若い医師が医学や社会や人間を学んで、自ら研鑽する場所です。好きでそこに所属しながら、夢や目標を持ち、個人が一人で頑張れる以上の成果を求める集団。時に切磋琢磨することもありますが、むしろ多くの場合は協調しながら支えあう。それが今日の医局です。近いイメージとしては学生のクラブ活動ではないでしょうか。そんな中で暮らしていると、個人レベルだけでなく集団・社会レベルの幸せにも関心が向いてしまい、人によってはそこにより大きな価値観を見出していきます。それは決して前時代的な忠誠心からではありません。

そんな医局を結束させる原動力は、夢であり、目標です。もはや個人のカリスマで医局をまとめ上げる時代ではありません。福島医大腎臓高血圧内科学教室の医局員が共有する夢は、慢性腎臓病の進行を食い止めることと、腎死に至った患者の生活の質を改善すること。でもそれだけではありません。一人一人はこれに加えてユニークな夢を抱いています。高血圧のない社会を作りたい、脆弱性骨折を防ぎたい、体液環境を維持して合理的な全身管理をしたい、組織形態から腎疾患を追求したい、尿毒症病態を解明したい、資格を取りたい、コミュニケーションの達人になりたい、健康管理を通して地域の活力を支えたい等々。医局の役割は、それらの夢に道筋をつけ、具体的なプランにしていくことです。そのスキームの上で一人一人が努力を重ねることで、初めは漠然としていた夢も、くっきりと輪郭の鮮やかな現実へと変貌していくのです。

風間順一郎 メッセージ

だから夢や目標を持たなければ医局の生活は意味がありません。医局の主役は研修医であり、専攻医であり、大学院生なのです。若者は夢を持つ。夢を持ち続ける限り若者でいられる。そんな若者たちが夢に没頭できる環境が医局です。小さく打算的にならず、大それた野心を抱いて、明るくおおらかに邁進していく。
福島医大腎臓高血圧内科はそんな集団でありたいと願っています。

出身大学
新潟大学
専門分野・資格
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本腎臓学会専門医・指導医
日本透析医学会専門医・指導医、日本骨粗鬆症学会認定医
研究テーマ
尿毒症の病態解析、新規血液浄化療法の開発、骨ミネラル代謝
経歴
新潟大学歯学部に国内留学
メルボルン大学聖ヴィンセント医学研究所に国外留学
栃木県下都賀総合病院透析室長
新潟大学医歯学総合病院高次救命災害治療センター副センター長
同血液浄化療法部副部長を歴任

医局長
田中 健一

きめ細やかな診療が腎臓病診療の難しい点でもあり醍醐味です。

メッセージ

message

わが国では約33万人、国民の約400人に1人(2017年末時点)、が末期腎不全のため維持透析を受けています。
末期腎不全の前段状態である慢性腎臓病(CKD)患者さんも約1,300万人と推算され、高血圧、糖尿病などほぼ同等のcommon diseaseであります。腎臓は生体内に蓄積する老廃物を尿として排出するだけでなく、尿細管における非常に精密な再吸収機構により体液量やその組成を常に監視し、生体環境をベストな状態に維持しています。
さらに内分泌器官としての側面も持ち様々な臓器とクロストークを行い、生体環境維持における中心的役割をつかさどっています。
このため腎臓の機能が低下すると、貧血、骨・ミネラル代謝異常を始めとする多彩な合併症を引き起こし、末期腎不全だけでなく心筋梗塞、心不全や脳卒中などの心血管疾患、認知症、サルコペニア・フレイルや骨折といった様々な病態のリスクとなることもわかってきています。

このように様々な病気の進行、進展に関わっており、腎臓を守ることは、透析が必要な患者さんを減らすだけでなく、多くの患者さんの健康寿命延長、生活の質(QoL)向上に直結すると考えられます。
しかしある程度以上に腎障害が進んでしまうと元に戻りません(不可逆的)し、腎臓の持っている機能は非常に多彩であるがゆえに、腎臓病の治療は難しい点も多く、腎臓だけに目を取られていると、他の臓器に負担をかけてしまったりすることも少なくありません。腎臓は全身の臓器と密接に関わっているため、腎臓内科医には常に“全身を診る”目が必要です。患者さんも高齢化しており、いろいろな合併症を持っていることも多く、患者さんそれぞれに合わせた全人的医療を設計していくセンスも求められます。そういったきめ細やかな診療が腎臓病診療の難しい点でもあり醍醐味でもあります。

田中 健一メッセージ

慢性腎臓病という概念が提唱されて十余年が経ちましたが、まだまだわかっていないことも多いのが現状で、特にわが国の腎臓病患者さんを対象としたデータは大きく不足しています。
このため当科では福島県の慢性腎臓病患者さんを対象としたコホート研究を行い、すでに様々な疫学的知見を積み重ねています。日常診療から生じる疑問、問題点を持ち寄りひとつひとつ丁寧に検証しエビデンスを発信することで、“腎臓を守る”からひとりでも多くの患者さんの健康、幸せに繋げていきたいと考えています。

出身大学
福島県立医科大学
専門分野・資格
腎臓病・透析、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医・指導医、日本高血圧学会専門医・指導医、日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
研究テーマ
慢性腎臓病における心血管病・腎不全進行リスクに関する疫学的解析
経歴
福島県立医科大学第三内科
大原医療センター内科
大原綜合病院内科
鹿島厚生病院内科
公立藤田総合病院腎臓内科
福島県立医科大学腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科