福島県CKD連携のご案内

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慢性腎臓病の病診連携のご案内

当講座では、福島県内のかかりつけ医との病診連携を進めています。
連携を円滑にするため、簡易かつ診療報酬の対象となる診療情報提供のひな型を作成いたしました。
慢性腎臓病の患者さまをご紹介いただく際には、下記のボタンより診療情報提供書のダウンロードをお願いたします。
また、患者様を適切に紹介いただくための判断材料となるフローチャートを下記に紹介しますのでご参照ください。

FC1(フローチャート1)=CKD患者のあぶり出し

フローチャート1

  1. ① まず糖尿病に罹患していれば尿所見に関係なく全てCKD患者とみなします。
  2. ② 検尿(普通の試験紙を用いた簡便な方法で結構です)で尿蛋白が±以上ならばCKD患者とみなします。
  3. ③ ②で行った検尿で尿潜血が陽性だった場合は④に移行します。
  4. ④ 念のため超音波検査や細胞診などで下部尿路疾患(尿路結石や膀胱がんなど)のスクリーニングをお勧めします。
  5. ⑤ 上記がいずれも問題なかった場合、血液生化学検査でクレアチニンを測定すると、検査会社がeGFRも計算して報告してくれますが、この値が60ml/min/1.73m2以上ならば問題なし、下回っていたらCKD患者とみなします。

以上の過程でCKD患者とみなされた場合はFC2(フローチャート2)に移行します。
いずれも大丈夫だった場合はその時点ではCKD患者ではないとみなします。
CKD患者ではないと判断された場合でも、一年後の再検査をお勧めします。

FC2(フローチャート2)=CKD患者への対応

FC1(フローチャート1)でCKDであると診断された患者の対応です。

フローチャート2

  1. ① まず血清クレアチニン値が5mg/dl以上ならば、腎代替療法の準備を急がなければならないので、ただちに専門施設にご紹介ください。4mg/dl以上でも、できるだけ早めにご紹介いただければありがたいです。
  2. ② 検尿(普通の試験紙を用いた簡便な方法で結構です)で尿蛋白が+++以上ならばネフローゼ症候群の可能性が高いので、速やかに治療を開始するため、ただちに専門施設にご紹介ください。
  3. ③ その時のeGFRが1か月前のeGFRよりも10ml/min/1.73m2以上低下していることが確認された場合は急速進行性糸球体腎炎で腎機能を喪失する危険がありますので、ただちに専門施設にご紹介ください。1か月前のeGFRが確認できない場合は仕方ありませんが、怪しいと思ったら未確認のまま専門施設にご紹介いただいても結構です。
  4. ④ 明らかな低下傾向は確認できなくても、eGFRが40ml/min/1.73m2を下回っていたら3か月以内に専門施設にご紹介ください。ただちにご紹介いただいても結構です。
  5. ⑤ 検尿(普通の試験紙を用いた簡便な方法で結構です)で尿蛋白が++ならば慢性糸球体腎炎の可能性が高いので、腎生検の適応を考えるために3か月以内に専門施設にご紹介ください。血清クレアチニン値は正常でも問題ありません。
  6. ⑥ 検尿(普通の試験紙を用いた簡便な方法で結構です)で++までいかなくても尿蛋白が+である場合は、同じ検査で尿潜血を確認してください。
  7. ⑦ 尿蛋白+かつ尿潜血が++以上ならば慢性糸球体腎炎の可能性が高いので、腎生検の適応を考えるために3か月以内に専門施設にご紹介ください。血清クレアチニン値は正常でも問題ありません。
  8. ⑧ 超音波検査で腎臓に両方合わせて5つ以上の嚢胞が確認できた場合、多発嚢胞腎である可能性が高いので、3か月以内に専門施設にご紹介ください。この疾患は家族歴があることが多いので、父母や兄弟姉妹に腎疾患があると申告された場合は、クリニックや専門施設で超音波検査を行うことを強くお勧めします。

上記がいずれも問題なかった場合は、CKD患者をそのままクリニックで診療し続けることも可能です。
1)RAS阻害薬を中心とした降圧薬で、血圧130/80未満を維持してください。
2)慢性尿路感染症を合併していなければ、ダパグリフロジン10mgを内服させてください。
3)まずとりあえず専門施設にご紹介いただいても結構です。方針決定後にクリニックへ逆紹介いたします。