腎臓高血圧内科からのスペシャルコンテンツ

当局は遠隔透析の輪を福島県内に広めています

最先端で活躍

透析医療について

透析医療は、腎臓の機能が失われてしまった人が尿毒症にならないように、血液を体の外で循環させ、ダイアライザー(人工腎臓)という機器によって老廃物や水分を取り除く治療です。
患者さんは週3回、医療機関に通い、1回4~5時間の透析を受ける必要があります。
しかし、福島県内では透析医療の専門医や専門スタッフが不足しており、患者様は専門医のいる病院まで遠くても足を運ばなければいけない状況でした。
そこで、当局の風間教授は、私立病院に対し「情報ネットワークによる遠隔システムを応用して透析を支援する」ことを約束しました。

福島県南相馬市 K様の例

Before
従来の人工透析

相馬の病院では人工透析の専門医が不在… 車で片道2時間かけて、仙台の大きな病院へ通院。 これを欠かさず週3回しなければならず、身体的にも精神的にも負担に‥。
After
遠隔透析

地元の南相馬市立病院で人工透析を受けられるようになり、通院の負担が軽くなりました!
いつもの顔なじみの先生が診てくれる安心感もあります。

地方の病院でも、人工透析を受けることができる仕組みによって「通院が楽になった」、「自分の心身や、家族への負担が減った」というお声を多数いただいており、大変嬉しく思います。
まだまだ、遠隔透析は対応病院が少なく、本当に必要な方に認知されていないと感じています。
K様のように、お一人でも多く負担が少ない人工透析を受けられる患者様が増えることが、私たちの使命だと思っております。

遠隔で行う人工透析の仕組み

支援先の病院と、福島県立医科大学付属病院を専用回線でつなぎ、私立病院のスタッフが、その日の患者さんの体調や体重の変化などをもとに、どれだけ水分を除去するかなど透析の設定を行い、本学附属病院の透析専門医がそれを確認します。

透析中は患者さんの表情や、血圧や脈拍などの変化、ダイアライザーを流れる血液の量の変化などを、画像や数値でチェック、共有します。 患者さんの血圧が急に下がるなど以上の前兆があった場合は、専門医が市立病院のスタッフに助言して対応します。

患者さんの様子はカメラが捉え、透析中のデータは血液を対外で循環させる透析装置が送られ、過去の透析の記録や検査データ、患者さんの訴えなどは市立病院の電子カルテから見ることができます

遠隔透析を福島県に広げています

遠隔透析対応病院
・南相馬市
・南会津町
・川俣町

福島県内で人口透析を必要としている患者さんの中には、通院に片道1時間以上かかる方も少なくありません。
透析の専門医がいなくても、お近くの病院で人工透析をお受けいただけるように提携の病院を増やしています。

地方にこそ、IT技術を駆使した医療が必要

維持透析患者さんは少なくとも週に3回は透析施設に通わなければなりません。
その透析施設が自宅から遠いところにあると、患者さんの生活には大きな支障をきたしてしまいます。
だから透析施設は全ての生活圏の近傍で運営されていなければなりません。
維持血液透析は究極の地域医療なのです。
一方で、血液透析は病態への理解・治療・薬物・生活指導など全てが特殊な領域であり、その安全で効率的な運用には専門知識を持ったスペシャリストの参画が不可欠です。
ところが、全ての生活圏の近傍に配備できるほど血液透析専門医の数は多くありません。
この矛盾をどう解決するか?IT技術を駆使した遠隔医療こそがその答えであると私は考えます。

主任教授
風間順一郎

専門医がいなくとも安全な透析を実現するために

相双地区だけでなく、会津地方など透析医療が困難な地域はまだまだたくさんあります。
1時間以上かけて透析施設に通院する患者さんも少なくない中、県内のこうした地域にも、さらに遠隔透析を広げていきたいと考えています。
専門医による透析の遠隔管理が広がれば、患者さんの安全・安心につながるだけでなく、本学附属病院の専門医が地域に出張することなく、多くの経験を積むことができる。
専門医不足の対策としても有効です。

医局長
田中 健一